ヴィヴィアン・ウエストウッドと言えば、色鮮やかなオーブのロゴを真っ先に思い出す方が多いのではないでしょうか。天体のような、王冠のような、皆さんの大好きなオーブを、一体どのようにヴィヴィアンはロゴとして使うようになったのでしょうか。
ヴィヴィアンと当時のパートナーであったマルコム・マクラーレンが別れた1985年頃、Worlds endは約1年ほど閉店していました。その間、ヴィヴィアンは友人のデザイナー、フィオルッチを頼りにイタリアへと渡り、彼のスタジオを使わせてもらいながら、王室をテーマにした創作活動に励んでいました。未来に伝統をもたらす由緒正しい王室だけれども、未来的な要素を何か取り入れたいと思いながら彼女は作業をしていました。そこで彼女は、チャールズ皇太子が休みの日に着ることをイメージして、ニットのセーターを作り始めました。チャールズ皇太子が持っていそうなグリフィスや、ナショナルシンボルであるスコットランドのアザミ、ウェールズのリークや、アイルランドのシャムロック、王冠やそれに付随する宝石の中から天体(オーブ)を選んで、そのセーターのデザインに落とし込みました。
そして未来感を出すために、ヴィヴィアンはその天体に土星のような衛星の環を付け加えたのです。そのアイディアは、イタリアへ渡る直前のヴィヴィアンに息子ベンが見せた天文学の雑誌が影響していると言われています。彼女はベンの雑誌を借り、’Deep SKy’と言うタイトルの、土星の環の仕組みが書かれた記事を読み、ギャラクシーやブラックホールの写真をとても興味深く見ていました。
その当時、ヴィヴィアンは友人に頼んでブランドのロゴ作りにも取り掛かっていました。しかし彼女の友人であり、今はウエストウッドのCEOでもあるカーロが、仕上がったそのセーターを見て、そこに付いている天体こそ、ヴィヴィアン・ウエストウッドのロゴにぴったりだと彼女に伝えました。こうして、未来に伝統をもたらしたいと考えていた彼女のアイディアが反映されたオーブのロゴが誕生することになったのです。